シンポジウム2020 若手研究者の研究紹介詳細: セッション1

講 演 者 講演内容
石田 洋平
Yohei ISHIDA

OB/OG
■所属

北海道大学 大学院工学研究院

■講演タイトル

次世代研究者育成プログラムでの出会いと学び、学生の皆さんに伝えたいこと

What I learned from this program and what I would love to share with promising students

■講演概要

物理化学分野で博士号を取得したのち、材料科学、生物、物理など様々な研究分野へ海外留学などを通じて触れる機会を得ました。
このプログラムを通じて出会った若手研究者の方々との触れ合いや共同研究の中で、サイエンスの広大さと奥深さを学びました。
このプログラムを通じて自分の研究に起きた変化、共同研究の難しさ、研究を楽しむこと、学生の皆さんに伝えたいこと、などについてお話しさせていただきます。

上野 裕
Hiroshi UENO
■所属

東北大学 学際科学フロンティア研究所新領域創成研究部

■分野

物質材料、エネルギー

■講演タイトル

“隔離”されたナノ空間の積極利用と不安定化学種の化学への展開

“Vacuum Packing” in Nano-World: Application of Fullerenes as Reclusive Nanocontainers

■講演概要

『不安定な構造を如何に安定化するか。』この問題を解決する手法の発展と共に、化学は劇的な進捗を遂げた。例えば、立体保護基の導入や嵩高い配位子の開発により、機能と安定性を兼ね備えた分子をデザインすることで、科学技術の発展を支える様々な物質が生み出された。しかしながら、不安定性ゆえに十分な物性探索が進められない分子や、そもそも単離することができない化学種は依然として多く、未知の宝庫である。我々の研究では、大気下室温では安定に存在しえないような小分子や原子集合体を、“完全に隔離された不活性ナノ空間”に配置することで、冒頭の問題に対する1つの答えを見出しつつある。講演では、最近の成果および今後の展望について紹介する。

木村 智樹
Tomoki KIMURA
■所属

東北大学 学際科学フロンティア研究所 新領域創成研究部

■分野

惑星圏物理学

■講演タイトル

太陽系の惑星と衛星が成す生命環境を理解する

Physics of Habitable Environments at Planets and Their Moons in Our Solar System

■講演概要

生命は宇宙で唯一地球にだけ存在するのか?という問いは、宇宙における生命の発生条件を理解する上で答えるべき最大の問題である。講演者らは、探査機、リモートセンシング、実験室実験等を駆使して、地球以外の太陽系惑星とその衛星が成す生命環境の探査と特徴付けに取り組んでいる。特に、木星や土星の氷衛星内部にある液体の水の海の進化や動力学を、惑星のオーロラ観測やプラズマ照射実験から明らかにしようとしている。本講演ではその現状を紹介する。

早川 尚志
Hisashi HAYAKAWA
■所属

名古屋大学 宇宙地球環境研究所

■分野

太陽物理学、環境史

■講演タイトル

同時代観測記録に基づく過去の激甚宇宙天気災害の規模推定

Intensity estimates of the past extreme space weather hazards on the basis of contemporary observational records

■講演概要

太陽活動や太陽面爆発に起因する地球近傍の宇宙環境の変動は宇宙天気と称される。その中でも特に大規模なものは、電気・電子インフラに大きく依存する現代社会に対して大きな脅威となっている。一般に観測史上最大と考えられる1859年の「キャリントン・イベント」が現在発生した場合の被害は本邦の国家予算数年分に及ぶという試算さえ見られる。一方、このような宇宙天気現象についてデータベースが整備されているのは過去60年強のことで、1859年の「キャリントン・イベント」が、過去の激甚宇宙天気現象の中でどの程度特異であったかについては十分検討が進んでこなかった。そこで、本報告では、過去のアナログ地磁気観測記録や、磁気擾乱規模との相関が知られるオーロラ観測の分布に基づいた復元・規模推定事例を紹介する。この議論を通して、本報告では、史上最大と考えられた「キャリントン・イベント」が過去200-300年の間では必ずしも例外的なものではなかったことを示す。