シンポジウム2020 若手研究者の研究紹介詳細: セッション2

講 演 者 講演内容
吉野 大輔
Daisuke YOSHINO

OB/OG

yoshino_daisuke

■所属

東京農工大学 大学院工学研究院 先端物理工学部門

■講演タイトル

メカノバイオデザインの確立を目指して:独立にこだわったアウトロー研究者のぼやき

Aiming to establish a novel research field “MechanoBioDesign”: tweets from the researcher gone astray

■講演概要

2017年2月に東北大学学際科学フロンティア研究所に着任し、生体応答を考慮したインプラント医療機器設計の理論(メカノバイオデザイン)の確立を目指して研究を行ってきました。2019年11月に東京農工大学大学院工学研究院先端物理工学部門に着任して以降も、引き続きメカノバイオデザインの研究分野の確立に取り組んでいます。最近の自身の研究動向を紹介しつつ、独立研究者にこだわってきた演者の研究の将来について考えるところを、農工大に着任以降の資金難やCOVID-19渦等を織り交ぜながらお伝えしたいと思います。

石原 誠一郎
Seiichiro ISHIHARA

石原 誠一郎 / Seiichiro ISHIHARA

■所属

北海道大学 大学院先端生命科学研究院

■分野

腫瘍生物学、細胞生物学

■講演タイトル

「硬さ」からアプローチするがん研究の新展開

New developments on cancer research approached from tissue stiffness

■講演概要

「癌」という漢字は病気を意味する「やまいだれ(疒)」に岩を意味する「嵒」を組み合わせたものである。がんは触診により「硬いしこり」として感じられるため、それが岩と表現されたことが由来といわれている。実際,固形がん組織の多くは正常な組織に比べて硬いことが多い。本講演では、がん細胞が周囲の組織の「硬さ」を認識して応答し悪性化するメカニズムについて、最新の知見をもとに議論する。

鈴木 裕
Yutaka SUZUKI

Yutaka SUZUKI

■所属

北海道大学 大学院農学研究院

■分野

消化管生理学、反芻動物

■講演タイトル

子牛における消化管の発達:草食動物としての機能獲得とそのメカニズム

The development of gastrointestinal tissue: a pivotal event to become ruminants

■講演概要

世界的に主要な家畜である牛は、人間がエネルギー源として利用できない植物性繊維(セルロースなど)を消化・吸収することができるという優れた生体機能を持っている。意外にも、生まれたばかりの子牛はこのような消化・代謝機能を持っておらず、生後の短い期間で獲得する。消化管微生物が作り出す短鎖脂肪酸がこのような機能獲得に関与することが1970年前後に報告されているが、その詳細な作用機序は明らかになっていない。私の研究では子牛における消化管の発達メカニズムを細胞レベルで解き明かそうと取り組んでおり、これまでに得られた知見を紹介したい。

萩尾 華子
Hanako HAGIO

■所属

名古屋大学 大学院生命農学研究科

■分野

魚類神経科学

■講演タイトル

魚の視覚回路の解明、そして上位レベルの視覚機能解析を可能に

Investigation of visual circuits in the brain of fish toward the elucidation of higher visual functions

■講演概要

魚の網膜から大脳にいたる視覚回路を解明し、魚は進化の過程で視覚回路が2つから1つになった可能性が高いことがわかりました。そして、これまでの魚の視覚機能解析は中脳レベルでとどまっていましたが、私たちの研究により、より高次の間脳視覚中継核で発現している遺伝子を特定し、遺伝子改変魚を用いて脳の上位レベルでの視覚機能を解析することを可能にしました。私たちは、学術領域や水産業界への貢献を目指しています。