特別助教からのメッセージ

~ 充実しているが故の悩みも 研究者として独立するための糧に ~

創成研究機構・工学研究院 機械・宇宙航空工学部門
研究分野: 燃焼工学、火災安全科学
アンビシャス特別助教 / 2022年度採用
グオ フェン

助教のポストが保障する自由な探究活動

私は博士後期課程から北大に留学し、現在の研究テーマであるリチウム電池の電解液の燃焼性や、宇宙空間での電線の発火メカニズムに取り組んでいます。2019年9月に博士号を取得した後、出身研究室でポスドク研究員をしていました。特別助教は、自由度の高い研究が可能で、学際的な交流や大学院教育など、今後のキャリアアップにつながる経験ができることが魅力です。助教という肩書きを持つことで、様々な研究費に申請しやすくなり、独自の研究にも挑戦できるようになったことが、ポスドクとの大きな違いですね。研究室の学生を指導するようになり責任は重くなりましたが、自分の研究以外のことも学ぶ機会になっています。


(2022年5月撮影)

 

実用化に資する基礎研究として可能性を広げた1年

燃焼研究の魅力は、現象の面白さもさることながら、美しいビジュアルを楽しめることです。その上、電池の安全性や、宇宙開発を通じて未来を「開拓」することにも貢献できる。学生時代は実験を中心に研究していましたが、現在はシミュレーションにも重きを置いています。今年度は、微重力下での電線の発火現象に関して新たな発見があり、論文を発表できました。また、海外の友人との共同研究やJAXAと共同のプロジェクトが進んでいたり、学生と一緒に新しくアンモニアの燃焼に関する研究に着手したりと、良いスタートが切れたと思います。

 

複雑なタスク管理の救世主としてオンラインツールを導入

複数の研究プロジェクトを並行して進める中で苦労しているのがタスク管理です。プロジェクトごとに実験や装置のセットアップをしなければならず、必要な知識も違います。さらに学生の教育にも携わっていくとなると、膨大なタスクに追われて時には徹夜で仕事する事態に。しかしこれは研究室の教授いわく「PIになるためには避けられない悩み」とのこと。事態を打開すべく、オンラインのプロジェクト管理アプリを導入することにしました。まだ使い始めたばかりですが、来年度は仕事を効率化し、コンスタントに論文を発表できる体制を整えた上で、自分なりのサイエンスを確立したいです。将来的には母国の中国でアカデミアのポストにつくことを目指して、就職活動も始めています。

 

PIになるための準備期間として実のある経験ができたら

アンビシャス特別助教制度は始まったばかりで、他の先生との交流もまだ限定的ですが、今後、特別助教が増えることで、研究や業務の相談をし合える関係ができていくのではないかと期待しています。学位を取得してすぐに2年間自由に研究ができるポストはそうそうないので、工学部出身の方にも特別助教をおすすめしたいです。それから、ベテランの先生たちからプロジェクトの運営や研究室のオペレーションの仕方を学べるチャンスがあれば良いですね。自分が出身した研究室以外のことも知る機会をいただけたら、今後のキャリアにすごく役立つと思います。

※インタビューは通訳を介して英語で行いました。