事業概要

若手研究者の活躍で大学の持続的発展を実現

出村 誠
北海道大学
研究人材育成推進室長
先端生命科学研究院 教授

本学が社会的責任を認識しつつ持続的な発展を遂げるためには、若い人たちの活躍が不可欠です。本学のテニュアトラック事業では国内外から優秀な若手研究者を採用して北大で活躍してもらうという流れをつくるために、テニュアトラック制度の全学的な普及・定着を推進しています。ノーベル賞受賞者の研究成果の多くは30代に行った研究とされており、北大のテニュアトラック制度はまさにその年代において研究に集中できる環境を手厚い支援体制で整えています。

本学のテニュアトラック事業では若手研究者の研究環境整備や育成・支援に力を入れており、特にテニュアトラック期間においては、OJT型プログラムの積極的な参加や高校での授業や市民講座などのアウトリーチ活動に積極的に取り組むことによるマネジメント能力向上を重視しています。また、若手研究者同志の異分野・異文化交流にも力を入れています。研究分野や部局を越えた交流により研究者の視野は広がりさまざまな気づきや発想が生まれます。ディスカッションのプロセスの中で共同研究の芽を見つけ新しい分野横断型の共同研究が生まれることもあります。

本学テニュアトラック事業では、異分野の研究者と積極的につながり、協調しながらもリーダーシップを発揮できる人を求めています。自ら挑戦する熱いマインドを持った人と切磋琢磨してこれからの北海道大学をともに一緒につくっていきたいと思います。

北大のテニュアトラック事業3つの柱

北大のテニュアトラック事業は、全学共通規格の「北大型」テニュアトラック制度、幅広い活用を目指した部局テニュアトラック認定制度と、すべてのテニュアトラック教員を対象とした育成・支援プログラムの3つの柱で構成されています。

北大型テニュアトラック制度
次世代リーダー育成を目的とした北大全学共通規格のテニュアトラック制度です。開かれた採用と人事制度を軸に、若手研究者を育成・支援します。

部局テニュアトラック認定制度
部局独自のテニュアトラック導入を支援する制度です。部局の多様なニーズに対応し、テニュアトラックの幅広い活用を推進します。

育成プログラム
テニュアトラック教員に提供する育成・支援プログラムです。本事業のプログラムは全学の若手研究者にも広く提供しています。

組織

テニュアトラックの普及・定着を全学的な体制で推進します

北大のテニュアトラック事業は、リーダー育成推進委員会が統括します。本委員会は、理事・副学長を委員長とし、総長補佐、委員長推薦の教員、機関外有識者で構成され、テニュアトラック事業を統括し活動方針を定めるとともに、テニュアトラック教員の採用審査、中間評価、テニュア審査、及び、部局テニュアトラックの認定審査等を行います。リーダー育成システム実行委員会は、L-Station教員とL-Station育成対象者のOB&OGより構成され、育成プログラムを企画・実行するとともに、OJT型プログラムに係る経費支援申請の審査やアドバイス等を行います。L-Stationは北大のテニュアトラック事業の事務局機能を担うとともに若手研究者を支援します。

歴史

三期・14年にわたって実績と経験を積みました

北大の若手研究人材育成事業は平成14(2002)年にスタートした流動研究員制度にさかのぼり、そこで培った独創的な人材を採用し異分野間の融合を推進する精神が、北大のテニュアトラック制度の基礎となりました。

北大のテニュアトラック事業は平成19(2007)年に文部科学省・若手研究者の自立的研究環境整備事業の採択で本格化し、第一期中期期間においては制度構築とノウハウの蓄積を行いました。それに続く第二期中期期間では文部科学省の補助事業の支援を得て多様なテニュアトラック制度を構築し、制度の全学的な普及定着に取り組みました。補助事業終了後の第三期中期期間では部局のテニュアトラック制度の導入を支援する「部局テニュアトラック認定制度」が構築され、令和元年(2019)年度から運用しています。