特別助教からのメッセージ

~ 学生時代からの研究が完成し 新たなネットワークも構築 ~

創成研究機構・医学研究院 神経生理学教室
研究分野: 神経生理学、神経科学、精神医学
アンビシャス特別助教 / 2022年度採用
澤頭 亮

欲していた形の研究支援制度に出会えました

私は北大の医学部を卒業して精神科医として臨床を経験した後、博士後期課程で大学に戻り現在の研究を始めました。4年で学位取得の目処は立ったものの、まだやり残していたことがあったので、博士研究員として研究室に残る予定でした。その手続きを進めていたタイミングでアンビシャス特別助教の公募が始まったんです。研究室を変える必要がなく、給与が保証され、研究費もつけていただけるということで魅力的なポストだと思い応募しました。採用後に伺ったところでは、任期中に北大からお給料をいただきながら短期間海外留学することも可能ということで、キャリアの可能性を広げられる素晴らしい制度だと感じています。


(2022年5月撮影)

 

自分の軸はぶらさず基礎研究と臨床をつなぐ研究を開拓

私はサルを用いて、ワーキングメモリの脳内メカニズムを調べています。精神科医というバックグラウンドを持ちながら、霊長類の神経生理学研究を本格的に行なっている研究者は日本には他にいないかもしれません。精神疾患により、ワーキングメモリの機能が障害されることは良く知られていますが、治療しようと思っても生理学的なメカニズムがそもそも十分に解明されていないという壁にぶつかりました。今取り組んでいる基礎的な生理学の研究においても、目の前の現象が病気とどう関わっているのかということを常に意識しています。この1年間は博士課程でやり残した仕事に集中し、論文を書くための下地ができました。来年度はハイインパクトな論文を発表することと、キャリアアップに向けて研究者としての力を蓄えることが目標です。

 

業務管理には分野横断型の制度ならではの苦労も

研究以外の業務では、北大の「DX博士人材フェローシップ」で合宿形式の異分野交流会の準備や、学生向けの研究費の申請書の審査に携わりました。どちらも良い経験になりましたが、自分の研究や部局での仕事とのバランスを取るのが予想以上に大変でした。今年度はアンビシャス特別助教の第1期ということで、何にどれくらいのエフォートを割くべきか手探りで進めている感じだったので、これから少しずつポジションが明確になっていくことを期待します。分野が離れていてお互いの状況が見えないからこそ、仕事はやる時にはしっかりやって断る時には断ることも必要だと学びました。

 

研究の可能性が広がる貴重なネットワークを構築

私のこれまでのキャリアでは、医療関係の方としかつながりがありませんでした。アンビシャス特別助教の先生たちは、普段接することのない分野のスペシャリストばかりで、お話しさせていただくと目から鱗というか、医療とは全く違う着眼点やアプローチで研究されていることに衝撃を受けました。私の研究分野は共同研究に不向きなところがあるのですが、例えば堤先生がやられているような計算化学の手法は医学系の研究にも盛んに取り入れられているので、いつかコラボレーションするチャンスがあるかもしれない。今後のキャリアにおいて頼りになる、貴重なネットワークを作れていると思います。