研究概要
世界には数十万もの未記載種(学名が確定していない生物)が未だ存在していると言われています。これらに焦点を当て,学名と形態形質,遺伝子の塩基配列の情報を一致させていく研究が分類学です.生物学の基礎的知見を提供する分類学的研究の進捗は分類群によって様々ですが,知名度の低い,いわゆるマイナー生物についてはおおよそ遅れているのが現状です.しかし,すべての生物が密接に関わりあって生態系が成り立っていると考えると,このようなマイナー生物についても知見の蓄積が求められます.
私が専門としているのは,体長1 ㎜程度と小型であり,あらゆる水環境に進出している「貝形虫」と呼ばれる甲殻類の一群です.特に日本国内の湧水環境に着目し,どこにどんな貝形虫が棲息するのか,どんな形態をしているのか,どんな遺伝的特徴を有するのかなどについて解明を目指し,研究を進めています.