抗精神病薬による血糖上昇・体重増加のリスクの違いを解明~血糖上昇・体重増加リスクのある統合失調症患者への治療選択に期待~(医学研究院 特任助教 澤頭 亮)
ポイント
●抗精神病薬の血糖上昇リスクは,オランザピンに比べブロナンセリンで小さいことを解明。
●体重増加リスクは,オランザピンに比べブロナンセリンとアリピプラゾールで小さいことを明示。
●血糖上昇・体重増加リスクのある統合失調症患者では,ブロナンセリン治療が優れる可能性を示唆。
概要
北海道大学大学院医学院博士課程の澤頭 亮氏(研究当時),国立精神神経医療研究センターの大久保亮氏(研究当時),北海道大学大学院医学研究院精神医学教室の久住一郎教授らの研究グループは,同大学遺伝子病制御研究所,同大学病院精神科,同大学病院臨床研究開発センターとの共同研究により,抗精神病薬によって生じる血糖上昇リスクは,これまでリスクが高いと考えられていたオランザピンを用いて治療を開始した群(対照群)と比較して,ブロナンセリンを用いて治療を開始した群では有意に小さいことを明らかにしました。さらに,体重増加リスクは,対照群と比較してブロナンセリンとアリピプラゾール開始群で有意に小さいことも解明しました。
なお,本研究成果は,2022年3月30日(水)にThe Journal of Clinical Psychiatry誌にオンライン掲載されました。
論文名:Subthreshold change in glycated hemoglobin and body mass index after the initiate-on of second-generation antipsychotics among patients with schizophrenia or bipol-ar disorder: a nationwide prospective cohort study in Japan(抗精神病薬の閾値下のヘモグロビンA1c上昇とBMI増加に与える影響)
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35377566/
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オランザピン開始群(対照群)のHbA1cとBMIの変化量を0とした時の,各薬剤の変化量(偏回帰係数)。オランザピン開始群と比べ有意な変化が見られた群を青で示す