工学研究院　宇宙環境応用工学研究室のGUO FENG（郭峰）アンビシャス特別助教、橋本 望 准教授、藤田 修 教授らの研究グループの新たな投稿論文が公開されましたのでお知らせいたします。

論文名：Effect of pyrolysis kinetic parameters on the overload ignition of polymer insulated wires in microgravity

論文概要：

電線の過電流や短絡は、宇宙船の火災の危険をもたらす可能性がある。過去の研究では、LDPE絶縁電線は地上よりも微小重力下での着火が非常に容易であった。そのため、宇宙船の電線被覆材として、火災安全性の高い材料の選定が強く望まれている。本研究では、絶縁材料の熱分解速度パラメーターが過電流着火特性（例えば電気回路短絡時等）に及ぼす影響に注目した。実験に使用したLDPE絶縁材の熱分解モデル（活性化エネルギーEと頻度係数A）は、熱重量分析により取得したデータに基づき設定した。過電流着火を模擬するために、実験に基づく熱分解モデルを用いた2次元数値モデルを作成し、微小重力実験との比較により検証を行った。さらに、基本の熱分解モデルからAとEを変化させた3つの熱分解モデル群を提案し、これらの反応パラメータの火災安全性に対するインパクトを数値シミュレーションにより評価した。すなわち、着火遅れ時間、着火限界特性、最小着火エネルギーを各熱分解モデル群同士で比較し、宇宙用材料の選択に対する基本的な知見を与えた。

本研究成果は、2022年10月30日（日）公開のProceedings of the Combustion Institute誌にオンライン先行公開されました。

詳細は下記URLにてご覧ください。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1540748922004084