研究概要
認知症、アルツハイマー病、脳卒中などの神経変性疾患は、加齢とともに増加し、生活の質を低下させる重大な課題となっている。特に高齢化が進む現代では、患者数のさらなる増加が予想されるため、早期診断技術の確立や新規治療法の開発が急務である。神経細胞の正常な機能維持に不可欠なミトコンドリアは、加齢に伴い機能が低下すると考えられている。また、神経変性疾患の初期段階で炎症反応を引き起こす可能性があり、その機能変化は診断や治療の新たな手がかりになると期待されている。しかし、ミトコンドリアが病態発症にどの程度関与しているかは、未解明な点が多い。そこで現在、ミトコンドリアの機能変化を基盤とした新たな診断技術の可能性を検討し、治療標的となる因子の探索を試みている。これにより、神経変性疾患の病態理解を深め、診断や治療法の発展に貢献することを目指している。