研究概要
マダニは野山で人や動物を刺し、さまざまな感染症を媒介する厄介者です。マダニが運ぶ細菌、原虫、ウイルスの中には、重い症状を引き起こすものも多く、感染症対策の観点から重要な研究対象です。
しかし、マダニは単なる「危険な生き物」ではありません。実はとてもユニークな生態をもっています。ダニ生の大半を草むらや土の上でじっと過ごし、動物が通りかかるのをひたすら待つ———いわば“待ち伏せ”をする生き物です。そしてやっと動物が来るとそれに飛びつき、皮膚に口器を差し込んで吸血を始めます。
さらに興味深いのは、マダニを取り巻く多様な生物たちです。体内には病原体の微生物だけでなく、共生する微生物も存在しています。また、マダニの天敵として寄生蜂がおり、捕食寄生の脅威の元で生き延びています。私はこのような、マダニをめぐる「小さな生態系」に興味をもって研究しています。
私は、こうしたマダニの生態と、マダニが運ぶ感染症のしくみを、衛生動物学や微生物学の手法を使って解き明かす研究をしています。そして、その知見をもとに、マダニ媒介性感染症の対策につなげることを目指しています。
(主な研究テーマ)
・マダニの人工吸血系を活用した、マダニ媒介性病原体感染モデルの確立
・マダニが保有する新規ウイルスの調査
・健常者におけるマダニ媒介性感染症暴露歴の調査
・マダニが保有する真核生物の網羅的解析
・日本に分布するマダニ寄生蜂の分類
・海鳥寄生性マダニの分類と生態の調査
