研究概要
ヒト骨盤内の仙腸関節は強靭な靭帯の支持を受けるため、わずかな運動のみを持つ関節です。急な動作や繰返しの負荷によって関節にズレが生じて疼痛を引き起こし、仙腸関節疾患となることがあります。腰痛疾患の約3割が仙腸関節由来であると報告されており、あまり知られていませんが潜在的には多くの方が仙腸関節疾患に苦しんでいると考えられています。私はこの疾患の発症機序の解明や効果的な治療法開発を目指し、力学環境の観点から機械工学的に研究を行っています。最近は、仙腸関節の形態的特徴に着目し、表面形状や関節の組合せ位置と仙腸関節の力学環境の関係を調べています。また、腰痛を引き起こしやすい座位時の骨盤内応力環境を可視化し、痛みが生じにくく長時間座れる椅子の検討も行っています。