概要
固体材料における「スピン」の研究は、量子情報分野への展開を駆動力にして近年、益々の広がりを見せています。
私の研究は、半導体ナノ構造の電子や正孔、励起子などのキャリアに加え、結晶を構成する原子核を対象として、スピンに関係する物性探索や光による制御を目指しています。特に、原子核のスピン集団は、長いコヒーレンス時間を活かしたメモリ媒体としての利用に加え、電子との結合によって現れる多重安定性など、産学両面で興味深い話題を提供しています。
これまでは,ナノ構造半導体として主に,“人工原子”とも呼ばれる量子ドット[(図(a), (b)]を扱ってきましたが,最近では“究極の二次元半導体”として世界的に注目される遷移金属ダイカルコゲナイド [図(c)]の励起子物性に関心を持っています.